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フォークリフトの点検のやり方とは?点検の目的についても解説

2024年10月24日

自動車は2年に1度(新車は初回のみ3年)、車検を受けなければ公道を走行できません。工場や工事現場、倉庫などで大活躍するフォークリフトも自動車と同じく法律で定期的な点検をするよう定められています。

本記事ではフォークリフトを運転するうえで必ず実施しなければならない3つの点検と、毎日実施する始業前点検のやり方を解説します。

フォークリフトの法定点検3つ

フォークリフトは労働安全衛生法によって、「年次検査」「月次検査」「始業前点検」と、3つの車両管理義務が課せられています。

それぞれの点検の簡単な概要を以下で解説します。

 

年次検査

年次点検は、労働安全衛生法の労働安全衛生規則第121条の21で、次のように点検が必要であると定められています。

「1年を超えない期間ごとに1回、定期に次の事項について自主検査を行うこと。」。

 

年次点検では以下の項目を点検します。

 

  • 圧縮圧力・弁すき間その他モーターの異常の有無
  • ディファレンシャル・プロペラシャフトその他動力伝達装置の異常の有無
  • タイヤ・ホイールベアリングそのほか走行装置の異常の有無
  • 舵取り車輪の左右の回転角度、ナックル・ロッド・アームそのほか操縦装置の異常の有無
  • 制動能力・ブレーキ・ドラム・ブレーキシューその他制動装置の異常の有無
  • フォーク・マスト・チェーン・チェーンホイールその他荷役装置の異常の有無
  • 油圧ポンプ・油圧モーター・シリンダー・安全弁その他油圧装置の異常の有無
  • 電圧・電流その他電気系統の異常の有無
  • 車体・ヘッドガード・バックレスト・警報装置・方向指示器・灯火装置及び計器の異常の有無

 

年次点検は普通自動車における車検に該当することもあり、非常に多くの点検項目があることがわかります。

そして、年次点検の記録は労働安全衛生規則第151条の23で3年間保存しなければならないと定められています。

 

また、車検が完了した車には車検シール(検査標章)を車の見える部分に貼りますが、フォークリフトの年次点検も同様に車検したことを証明するシールをはらなければなりません。

労働安全衛生規則第151条の24の5において、「特定自主検査を実施した年月を明らかにする検査標章をフォークリフトに貼付しなければならない」とあります。

 

そして、年次点検は誰でも実施できる検査ではありません。

労働安全衛生法の第45条の2において、「特定自主検査は有資格者、または検査業者に実施させなければならない」とあります。

もし上記の法令に違反した場合、50万円以下の罰金に処すると、労働安全衛生法第120条に定められています。

 

月次検査

月次点検は月1回の定期自主検査で、月次点検に関しては特に有資格者に検査をしてもらわなければならないという決まりはありません。

 

月次点検に関しては、労働安全衛生規則の第151条の22で以下のように定められています。

「1ヶ月を超えない期間ごとに1回、定期に次の事項について自主検査を行うこと。」。

 

月次点検の点検項目は主に以下の3点です。

 

  • 制動装置・クラッチおよび操縦装置の異常の有無
  • 荷役装置および油圧装置の異常の有無
  • ヘッドガードおよびバックレストの異常の有無

 

そして、年次点検と同様に、労働安全衛生規則の第151条の22において、月次点検の記録は3年間保存しなければならないと定められています。

 

始業前点検

始業点検は作業開始前、つまりフォークリフトに乗る前の点検で、毎日実施しなければなりません。

始業点検に関しては、労働安全衛生規則の第151条の25で以下のように定められています。

 

「作業開始前には、次の事項についての点検をすること。」。

上記の定められている次の事項とは、以下の項目です。

 

  • 制動装置及び操縦装置の機能
  • 荷役装置および油圧装置の機能
  • 車輪の異常の有無
  • 前照灯・交渉等・方向指示器および警報装置の機能

 

始業点検の記録については保存期間の規則はないため、保存期間は適宜決めておくとよいでしょう。

 

そして、労働安全衛生規則の第151条の26では、「定期自主検査及び始業点検で異常を認めたときは、直ちに補修等の措置をすること。」と、定められています。

点検で異常を認めたときは直ちに修理をしなければ法令違反となり、何らかの罰則が課せられます。

法定点検の目的とメリット

法定点検は、フォークリフトを運転する側にとっては面倒に感じるかも知れませんが、法定点検を決められた通り実施することで2つのメリットが得られます。

 

ひとつは性能維持による労働災害防止です。

定期点検をしないまま乗り続けると異常に気づかず、性能が低下しますし、突然故障すると事故が発生する恐れがあります。

 

万が一その事故に人が巻き込まれると大惨事になる可能性もあります。

定期点検でフォークリフトの突然の故障を防ぎ、大きな労働災害が防げるならば、点検をする意味は十分あるといえるでしょう。

 

また、定期点検をすることで異常をすぐに見つけることができ、修理費用を抑えられます。

その結果耐用年数が向上し、トータルコストを削減できます。

 

始業前点検のやり方

始業前点検は月次点検と同様に、特に資格がない人も点検できます。

始業前点検は、エンジンを動かす前、エンジン始動中、そして運転中の3つに分けて実施します。

エンジン始動前の確認事項

エンジン始動前にチェックしなければならない項目は以下の通りです。

 

  • フォーク(ツメ)・アタッチメント(あれば)の取り付けが正常か、損傷はないか
  • タイヤの取り付け(ボルト・ナットの緩み)
  • 作動油・ブレーキオイル・エンジンオイルの量が適切か、汚れや漏れていないか
  • エンジン冷却水・バッテリー液の量は適切か、汚れや漏れはないか

 

特に作動油や冷却水、バッテリー液などの量は注意して確認しておきたいところです。

外から漏れは確認できなくても、異常に減っている場合は内部で漏れが発生している恐れがあります。

エンジン始動中の確認事項

エンジン始動中のチェックポイントは以下の通りです。

 

ハンドル・ペダル・レバーの遊び

  • エンジン指導後の排気の色(ガソリン車)
  • 各灯火類及び計器類は正常に作動しているか
  • ホーン・バックブザーの音
  • リフトチェーンの張りは均等か、損傷やサビがないか
  • マストの上下、前後(傾斜作動)は正常か
  • アタッチメントを使っているなら正常に作動するか

 

特にフォークの上下・傾斜が正常か、リフトチェーンの張りや損傷はしっかりチェックしておきたいところです。

夜間も利用する場合は、灯火類や計器類もしっかり確認しましょう。

運転時のチェック事項

運転時のチェック項目は以下の通りです。

 

  • ブレーキの踏み代や効き
  • クラッチペダルの遊びと切れ(ミッション車)
  • 駐車ブレーキの効き
  • 運転中の異音や振動

 

点検も終わりに差し掛かると気が緩んでしまいがちですが、上記の点検項目は異常があると大きな事故につながりやすいので、集中して点検しましょう。

三田産機株式会社はフォークリフトの点検・メンテナンスも実施

三田産機株式会社では、法定検査のひとつ、年次点検を受け付けています。

前章でも触れた通り、年次検査は定められた資格を有する検査者が点検をしなければなりません。

 

当社には資格を有するスタッフが在籍しているので、安心して検査を依頼できます。

三菱など主要メーカーだけではなく、全メーカーのフォークリフトの検査を受け付けています。

 

他社で検査を断られた場合もぜひ一度相談してみてください。

代車も多く準備しているので、検査中に業務が滞る心配もないですし、点検終了後、出荷時は次亜塩素酸水にて除菌するなど、検査後の処置も万全です。